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もう一度見上げた天井に異変があった。
「きゃああ!?」
干支のモニュメントが、ゆっくりと動いているのだ。
それぞれの動物に見合った動きで、時計回りに歩いているのだ。
ぞわ、と背筋が震えた。異常だ、これは異常な現象だ。
(まずい、これ……よくない!)
身体の感覚にも、異変が起きる。
立ちくらみのように、視界がゆらぐ。
まるでものすごい速さで降っていくエレベーターにでも乗っているような、ぐわんぐわんと重力が揺らぐような感覚に襲われる。
しばらく、金縛りにでもあったように立ち尽くしていた。
「だ、誰か!」
やっと体が動くようになって、あやめは叫んだ。走り出す。
怖い、と思った。
誰か人はいないのか、悪い夢なら覚めてくれ。
どこかに消えたいなんて思って、ごめんなさい。
少し走っていると、雑踏の音が戻ってきた。けれど、歩いているのはまるで影法師のような人影だ。かろうじて和服のようなものを着ていることはわかるけれど、明らかに人間じゃない。
その人影たちがあやめをじろじろと見ているのを感じる。意味がわからない、恐ろしい。
「嘘、嘘、嘘……なにこれ……」
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