15人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
それはわしが朝の散歩に出ようとしていた時じゃった。
どこからともなく不気味な声が聞こえてきた。
「ヒッヒッ、あなたをお迎えにあがりましたよ」
「わああああ!」
突然現れた謎の男、いやそもそも男女かどうかも分らんが、服装こそ、タキシード、そしてシルクハットをかぶっておるが、顔はなんというかバケモノみたいで思わず腰を抜かすが、わしはそいつに何者かを尋ねた。
「お、お前……、一体何者じゃ?」
「おっと、申し遅れました。私は死神のアンジと申します。古橋源三様、あなたの死期が近いという事でお迎えにあがりました」
「わ、わしの死期が近いじゃと⁉」
確かにわしも年で、体調が思わしくない日もあるが、まだ入院とかが必要ではない。
第一、死神を名乗るとはどうも胡散臭い。老人を狙う詐欺ならもっと上手い方法があるじゃろう。
じゃがとりあえず少しは乗ってやるか、それで怪しいと思ったら警察に通報すればいいだけじゃ。
「お前さん、わしの死期が近いと言ったが、具体的にいつなんじゃ?」
「それは申し上げることはできません、というより私も死期が近いという事だけが見えたに過ぎないので、本日訪問させていただきました」
具体的な事は明かさんか、詐欺ならもう少し何かしら情報を提供していかにもそれっぽく誘導するはずじゃが、少しこのアンジとかいう奴の発言を聞いてると気になった部分があるから聞いてみるか?
最初のコメントを投稿しよう!