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「お前さん、確か死神と名乗っておったが、なんで今すぐにわしをその、あの世に連れて行かんのじゃ?」
「私の役割は死期の近い方の未練を解消するというものなんですよ。もちろん全ての人にそれは無理なので、古橋様は運が良かったですよ」
未練解消?わしが未練を抱えているとでも言いたいのかこの死神詐欺師は、
まさかその為に金を取るのか?念の為、確認しておこう。
「まさか、その為に金が必要というんじゃないじゃろうな。先に言っておくがわしは生活で精一杯じゃぞ」
「いえいえ、未練解消に必要な経費は私のほうで負担させて頂きます。何しろ私は死神ですから人間世界の貨幣を作ることなど容易いです。古橋様千円札をお持ちでしたら、少し預からせてください」
とりあえずわしはこの自称死神に持っていた千円札を渡した。
「今から目の前でこれを一万円札に変えて御覧にいれましょう」
何じゃと?テレビでやるようなマジックでも披露する気かこいつは?やっぱりこいつは詐欺師じゃな。そろそろ通報を考えんといかんわ。
「多分、古橋様は私の力をお疑いだと思いますので、古橋様にもご覧いただきながら変えましょう」
な、何じゃ、こいつは?わしの心が読めるのか?それにしてもわしの目の前で変えるじゃと、一体どんなマジックを使うんじゃ?
そんなことを考えているうちにこの死神が、手をかざしただけでわしの千円札が突如分離し、もう片方が一万円札に変わってしまったは、驚きのあまりわしは腰を抜かしながら叫んでしまった。
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