再会

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再会

「杉野さん、帰って来たんだって〜」 「杉野さんって誰?」 「エリートコースまっしぐらの超イケメンよ」 「えー? そんな人居たの?」 若い女子社員が騒いでる 「オイ、鈴木! 杉野さん帰って来たぞ」 わざわざ井上が言いに来た。 「へー」 「オイって……」 「今、忙しいのよ!」 「忙しい所、悪いけど、この書類、処理してもらってもイイですか? 鈴木さん!」 「ん? あっ!」 それは、まさに5年ぶりに見る洋平の姿だった。 一瞬、時間(とき)が止まった。 「あ、すみません。お帰りなさい。分かりました」 「よろしく!」 「はい」  洋平は、何事もなかったかのように、上司の元へ行き、報告している。  若い女子社員たちは、代わる代わる見に来ては、 騒いでる。 当然、私たちが付き合っていた事など知らない。  私は、しばらく、ボーっと洋平を目で追っていた。  井上が「だから、帰って来たって教えてやったのに……良いのか? 杉野さんと話さなくて……」 「話なんてないわよ。話せる状況でもなさそうだし……」 「強がんなって……」 山本もやって来て、「早くヨリを戻さないと、若い子に取られるぞ」 「もう、戻らないよ。きっと若い子の方がいいに決まってる」 「素直じゃないな、ちゃんと話す機会、持てよ」 「……」返事できなかった。
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