再会

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 美優は、取締役に書類を届けるために、 エレベーターを待っていた。 誰も乗っていないエレベーターに乗り込んだ。 ドアが閉まる寸前に、ドアを開ける人が…… 「あ!」 洋平だ! 「何階ですか?」 「1階へ」 「え? このエレベーター上に行きますが……」 私が押した12階を見ている 「じゃあ12階で!」 「え?」 慌てて 閉まるボタンを押した洋平 「久しぶり!」 「お久しぶりです」 「元気だった?」 「はい、おかげさまで……お元気そうですね?」 真っ黒に日焼けして健康そうだった 「うん、バリバリ働いてたからね〜」 「そうですか……」 「良かった、美優、まだ居てくれて……」 「美優って呼ばないでください。会社だし……」  そう言いながら、内心、私の心臓はドキドキして 熱を帯びているようだった。 空気が薄くなってるんじゃないか? と、思うぐらいに息苦しくて、倒れそうだった。 目のやり場にも困った。  エレベーターの階数を知らせる数字を見上げた。 もうすぐ12階。 「後で電話して!」 メモ紙を渡された。 携帯電話の番号が書いてある。 「クスッ、今時、紙って……」 「え?」 「ふふっ、ううん」12階で私だけ降りた。 役員室の前だったから、わざと、洋平に深々とお辞儀をして、エレベーターを見送った。 「絶対な!」と、小声で釘を刺す洋平。 思わず、ニヤッと笑ってしまった。
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