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「って言うか! 逮捕されるとか言ってたくせに、全然大丈夫だったじゃん!」
照れを誤魔化すために、またそっぽを向いた。
「だって! 本当に捕まるかと思ってたんだもん。実際に火事にはならなかったけど、ボヤは起こしたんだし」
まぁ、確かに。何かしら罪悪感があれば、日々ビクビクして過ごすのは当然なんだろう、そう理解した。
「なぁ。昨日……あのあと、何があったんだ?」
「え?」
「取り調べを受けたんだろ? なんで俺んちの玄関先で傘を燃やしたのか、事細かく追及されたんだよな?」
話している途中で、ふふふっ、と紗里が口角を上げた。
「恭ちゃん、さっきも刑事さんに言ってたけど。色々と調べてくれたんだね? 傘を燃やしたことなんて、隣りのお姉さんか鑑識の人にしか分からないはずなのに」
「そ、そーだよ。わざわざ隣人だった蓮田さんに話を聞きに行って、傘と新聞紙が燃やされてたって聞いたんだ」
「あたしのこと、心配してくれたんだ?」
紗里はステップを踏み、僕の前へと歩み出た。ドギマギする僕の反応を面白がっている気がして、僕は灰色の瞳から逃げた。
「……っ、悪いかよ」
「ううん、嬉しい」
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