ミントティーの館

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 幼い頃に、母親に連れられて来た森の中の館。  朧気な記憶の中にも残っている、美しい春の草花と、大きなイチイの木々、おとぎ話に出てきそうな、古めかしくも立派なお屋敷。  庭で開かれていたお茶会。  大好きなお母さんは、そこでミントティーを飲むのが好きだった。  隣で笑う愛する人と一緒に。  私はまだ幼くて、ミントのお茶も飲めなかったし、彼が誰なのかもわからなかった。  ただ、美しく微笑む母の横顔に見惚れていた。  ミントティー、私もいつか美味しいと感じる日が来るのかなって。
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