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2 護衛対象は勝気な少年
女子がキャキャと甲高い声を上げて、瞬く間に話題になっているミツハチ探偵事務所。おれは別に平気なんだぜ?大人二人に大人しく守られる性格ではない。ウゼェのは隣にいる親父。
「俺はお天道様に顔向けて歩ける人間じゃあありませんが、息子には普通の中学生として生活してほしいんです。頼みます!!」
ガンと額をぶつけてまで頼み込むことかね?親父の仕事がバレなきゃいい話だし。オレと親父の前に出されている珈琲カップを手に取り、口に含む。
「に、っが!!」
何かと反抗したい年頃になって、親父とはスマホのメッセージを送り合うだけになっている。お袋はオレが物心つく前に、家を出たっきり帰ってこない。
「正義にはブラックなんて早すぎたんだ!!」
親父がゴクゴク飲んでいる黒い珈琲。甘いものなんて入れない大人の飲み物。同級生で飲める奴がカッケーって思う。14歳の中学生を護衛してくれと親父が頭を下げて頼み込んでいるのには、訳がある。
「お父さんのお仕事はわかっているのですか?」
眼帯の男が調査書の必要事項にボールペンを走らせている親父に問う。親父は顔を上げずに、返事をしていただけだった。
「反社の息子の護衛なんて大変だよ?お兄さんたち」
両腕を組み睨みを利かせ二人を交互に見る。同級生なんてびびって従う弱い奴らばかりだ。
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