10人が本棚に入れています
本棚に追加
偽りの仲良し
👻神里ミツル👻
特別講師がいるからか、まさくんの普段が変わっている。話しかけないはずのクラスメートが次々にまさくんに話しかけに行っている。何もありません、仲良しクラスですと言わんばかりの行動に、寒気がする。
「先生、イケメン!!」
「名前は?」
スマホで誰かが呟いたのか、廊下には各階から生徒が押し寄せている。苦笑を浮かべ教室にいるまさくんに視線を外さずに佇む。まさくんの席は廊下側の窓際、ロッカーがある前の席。後方の扉から入ってすぐの場所。
「教室に戻りなさい!!自分の教室に戻りなさい」
騒ぎを聞き付けたジャージ姿の男性教師が、生徒に向かって声をかけ近づいてくる。ぼくの方に一瞥し、前方扉の方へと進んでいく。ハッチーは全員疑えと言っていた。僕が見せられてる光景は嘘なのか?
「ミツ、すまなかった!!」
左奥の階段から小走りでハッチーが姿を見せる。副担任の女性教師が反対側から歩いて、ぼくらに会釈をする。騒がしかった廊下が、静まり始業を知らせるチャイムが学校中に鳴り響く。
👻👻👻👻
「今日からこのクラスに特別講師として赴任された先生を紹介する」
二組のクラスメートが騒つく。僕らを見比べどっちがカッコいいと言っている女子の声から、気だるそうに一瞥しただけの男子がいたりと様々な反応を見せている。
「二組の担任教師の熊井五郎。後方にいるのが副担任の・・・」
「織部みなみです」
担任の熊井は明るくて社交的な第一印象で、織部は物静かな印象。真逆な二人の教師に静かすぎるくらい大人しい二組の生徒。
「皆さんよろしくお願いします」
ハッチーが頭を下げて礼をするので、ぼくも同じように返す。ハッチーの視線はまさくんを気にしつつ周囲の様子を伺っている。まさくんは腕枕を作り寝ている。見た目は近づくなオーラ全開だけど、本当の彼は思いやりがある優しい少年。
【青村の親が雇った?】
【写真送付したよ】
ぼくらが自己紹介している間に掲示板は盛り上がっていく。
最初のコメントを投稿しよう!