偽りの仲良し

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 警護開始から数日で元の光景に戻っていく。まさくんは一人になり、ぼくらを見にくる生徒も減る。気を抜けない日々、元に戻った後の行動に要注意だとハッチーに言われ続けている。 「青村の警護なんてやめて、一緒に遊ばない」  昼休みになり女子がぼくに近づいてくる。男子生徒の軽蔑した視線を感じながら、寝ているまさくんを見ている。常に側にいるからか目立つ動きは見られない。 「青村、青村・・・ちょっといいか?」  担任の熊井が前方の方で手招きする。進路相談は、昼休みや放課後の短時間に呼び出されている光景を見続けていたぼく。 「神里さん、個人情報ですので」  まさくんの側で歩いていたぼくに、苦笑した顔を浮かべて見せる熊井。 「これで音楽聞いてるんで大丈夫です」  トト、トンとイヤホンを叩いて微笑み返す。ハッチーはいつものように単独で推理中。ぼくとまさくんは兄弟みたいな距離まで縮めていた。 「ミツ兄に外してほしい理由あるんすっか?」 「・・・まぁ、いいだろう」  なんだ妙な間はなんか嫌な感じがする。準備室に通されたまさくんとぼく。入室前に気づくべきだった。熊井の表情の変化に、なぜ先に入らなかったのか。今になって気づく。  ガシャ!!  出入り口を塞ぐ形で鍵を閉めた熊井。大柄な彼が何をしてくるのか?まさくんの前に立ち両手で立ち塞ぎ守る体勢を作る。 「青村の好きなようにさせてきただろう?親父さんに言って借金の減額を頼めないか?」 「親父の仕事の件はノータッチなんで・・・」  まさくんの声が震えている。まさくんは後ろにいるけれど、物が置いてあり狭くなっている室内。ここで乱闘騒ぎなんて起こしてほしくない。 「熊井先生。落ち着いて・・」  両手で落ち着くようジェスチャーするぼく。フフと熊井が怪しげに笑う。裏切る大人を見たことがある。信じてきた人が変わる瞬間。
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