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あたしさんは誰なのか?
👁🗨筒井八谷👁🗨
「助手さんは優しいのね」
階下から依頼人、三角すずえの張り上げた声が聞こえる。初対面で見た三角は90歳とは思えないほど若々しく見えた。足腰は弱まっているが、受け答えはしっかり出来ている。
彼女の依頼は変わっている。大抵の依頼人は、母さん助けて詐欺の掛け子や受け子の特定をしてほしいと依頼されるのだが、今回ははじめてのケースになる。
「詐欺かそれとも忘れている旧友か?」
顎に手を当てながら、依頼内容書類を確認していく。テーブルの端にはボイスレコーダーが置いてあり許可を得て録音並びに背後に設置したカメラで録画をしている。
『あたしさんから電話がかかってくる時間帯を教えてください』
『確か・・・昼下がりだったかしら』
三角がミツハチ探偵事務所を来訪したのが、午前九時を少し過ぎた頃。世間話からはじまり延々と話し終わったのが十一時半頃。三角の話し通りなら送っている間に電話が来るはず。来訪直後に霊的存在を確認することはなかった。
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依頼人:三角すずえ90歳。市営住宅住人、近所付き合いはしているが周囲から煙たがられている。本人は自覚あり。近所トラブルについては調査中。交友関係についても同様。
・注意すること:三角の性格は一度話したら止まらなくなる。好き嫌いがはっきりしているため、過去に関係している人物によるいたずらの可能性がある。
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三角の連絡先を教えてもらおうとしたが、俺よりミツが気に入られている。俺は過去の人間関係について調べることにする。
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