1兄貴のように慕ってた彼は

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 警察にお世話になっていた学生時代、高校を中退し少年院を出入りしていた時に白戸裕也と出会った。ヤンキーかじりなだけの僕と違って不良仲間で知らない者はいないほどの有名人。 「おい、お前なにやった?」  僕より身体が大きくて細身な上に筋肉質。両サイド刈り上げの金髪、おっさんじゃんかと思うほどタメなのに老け顔の裕也。彼に見つけられた奴の話は良い方向にいかないと噂されている。 「ぼ、ぼ、ぼ・・・」  同じ言葉を連呼していて足は震え、なんとか地面に立っている状態の僕。豪快に笑ったと思えば、目を細めて背中をバシバシ叩く。 「ヤンキー歴が違うってーの!!ふははは」  中卒でヤンキー道に入った裕也を変えたのは僕と関わってからだと仲間は言っていた。僕なんて演技は出来ずに、年寄りすら騙せない小心者。 「真っ当な人生送ろうぜ!!」  お互いを下の名前で呼び合うようになってからは、悪友たちと縁を切ったはずなのに。
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