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はぁ?
フリー、アナウンサー⁇
「間抜けヅラしてるぞ。口とじろ」
とてもアシスタントとは思えない物言い。ぽっかり口を開けていた私は、なんとか渾身の力で閉じて__。
「な、なんで?どういうことよ⁉︎」
「もうすぐ本場だ。説明してるヒマはない」
「ちょっと‼︎」
シレっと席についた亮太に食いかかろうと、腰を浮かした瞬間、時報が鳴った。
サブからQの合図が出る。
「皆さんこんにちは‼︎愛子のなんくるないさ、始まりました。今日は生憎のお天気ですが、そんな雨模様を吹き飛ばすような__」
「杉田アナは雨女ですからね」
「えっ⁉︎」
思わず声を上げる。
まさか割って入ってくるとは‼︎
「突然、失礼します。本日より番組のアシスタントを務めることになりました、フリーアナウンサーの徳川亮太です。フリーの事務所に所属しまして、文字通り杉田愛子を全力でサポートしてまいります。よろしくお願いします」
意外と礼儀正しく、私に頭を下げる。
さすがに立場は分かっているらしい。
気を良くした私は「よろしくお願いします」と快活に返し、オープニングトークを締めようと__。
「私は晴れ男なので、いつも彼女と一緒だと力を発揮するのが大変なんですよ」
「でも今日は大雨なので、役立たずと言いますか__」
「あ、今、外から連絡があったのですが、雨はやんで陽が差してきたらしいです」
亮太がこっちを見て__ほくそ笑んだ。
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