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ラジオとテレビの違い。
それは__リスナーとの距離が近いことだ。
リクエストや企画、プレゼントコーナーなど、頻繁にリスナーからのメールやファックスを紹介する。
言葉だけの繋がりだが、私はそこに気持ちを含ませ仕事をやってきた。
なにより大事なのは、リスナー。
「なんくるないさ」にも多くの便りが寄せられる。
それが不思議なもので、1度採用されて読まれると、続けて選ばれ常連となる場合が多い。リスナーとしては手を替え品を替え、なんとしても目に止まるよう試行錯誤するが、そこに明確な基準などない。
いうなればタイミング。
けれど__学生の時からラジオを愛聴し、何度も何度もハガキを出し、遂に読まれた時の感動で叫び声を上げたことがある私には、リスナーの気持ちが分かる。
だからこそ__。
「えっ⁉︎全員のメールを紹介するの?」
ディレクターが驚くのも無理はない。ただでさえ、リスナーが収録を見学するのだ。そのやり取りや特番のコーナーを考えたら、そんなヒマはないだろう。
「この際、コメントは読み上げません。これまで番組に便りをくれたリスナーの名前だけでも、読み上げたいんです」
「それって、選ばれなかった人もでしょ?凄い量よ」
「分かってます。でも5分、5分だけ私に下さい‼︎」
私は頭を下げた。5分という時間が、いかに大事かは痛いほど分かる。でも一字一字、メールに書いてくれたリスナーの気持ちに応えたい。
「わかったわ。5分で読み上げなさいよ」
「ありがとうございます‼︎」
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