美声のボディーガード

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いつものゲツトクのコーナーには、今をときめく朝ドラのヒロインに来てもらった。 うちの局、かなりガンバったらしい。 彼女の地元ということもあり、それをお目当のファンが取り囲む。どうやら私に関心はないと気づく__ホッとするやら、寂しいやら。 特番らしく、最後までテンション上げて進行する。 「それではですね、ここで皆さんに感謝の気持ちを込め、これまでに番組にメールを下さったリスナーの方のお名前をすべて、駆け足になりますが読み上げたいと思います。聞き逃さないよう、お願いしますね」 大きく息を吸い込み、潜水する要領で、息が続く限りラジオネームを読み上げる。 私はこれまで__すべての便りに目を通してきた。 どんな些細なことでも、それは番組に対する意見であり、番組を愛して聴いてくれているということ。 膨大な数の便りから、自分の手でラジオネームだけを書き出し、連ね、こうして声にして形にする。 私なりの答えだ。 「__以上の皆さん、貴重なご意見ありがとうございました‼︎なんくるないさ、これからも皆さんの声に後押しされ、邁進していきたいと思います‼︎」 最後にお礼で締め括ると、ガラスの向こうから沢山の拍手が聞こえてきた。 スタジオでは決して味わえない、反応だ。 胸がいっぱいで、手を振ってから頭を下げる。 私のリスナーに。 ヘビー、リスナーに__。
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