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男は、両脇を警官に挟まれ__と突然、その手を振り払って駆けてくる‼︎
亮太が私の腕を引き、前に立ちはだかった。
「す、すみませんでした‼︎」
大声で謝ったかと思うと、その場にひれ伏す。肩を震わせ、恐らく泣いているのだろう。
「おい‼︎」と、前に出ようとする私を引き止める、亮太の手を押し戻し__。
「また、番組にメッセージくれますか?」
私がそう言うと、男はハッと顔を上げた。
「今度はちゃんとお名前、読みますから」
「は、はいっ‼︎」
男は__リスナーだ。
私の大切な番組に欠かせない、リスナー。
事件にはしないことで決着し、警察署を後にした__。
「早く戻らないと。私は涼子さんに送ってもらうから」
「いやダメだ」
ボディーガードのお許しが出ない。
「なんなら、私の家に泊まればいいわよ。着替えとか取りに行く?」
涼子さんの提案にも__。
「俺が心配なんで」
「じゃ私、帰るわよ。私にだって、帰りを待ちわびてくれる野郎が居るんだから__おチビさんだけど」
と、帰り際、亮太に頼んだわよと言い伝えて、涼子さんが行ってしまった。
「私、家に帰るけど?」
「わかった」
ピッタリついてくる。
「番組、どうするのよ?」
「仕方ないだろ」
「仕方ないって__穴あいちゃうじゃない⁉︎」
私が声を大にして非難すると、少し拗ねたように視線を外して言った。
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