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しかしそこは職業病というやつで__。
「こんばんは、杉田愛子です。実は私もミッドナイトシアターのヘビーリスナーで、いつも徳川さんの声を聴きながら眠りにつくんです。今日は間近で声を耳にして、すでに瞼が下りてきてるんですが__」
「寝かせねーよ」
若干、声に艶(エロ)が含まれていませんか⁉︎
「それでは早速なんですが、質問をいくつか」
「えっ⁉︎」
台本も打ち合わせもない、その質問だってどこにそんなメモがあるのよ⁇
睨むゲストと、ほくそ笑むパーソナリティー。
あくまで声だけは自然に振る舞うものの、来(きた)る質問に身構える。
「好きな食べ物は?」
「肉」
「好きな場所は?」
「スタジオが1番です」
「自慢は?」
「明るいこと、かな?」
「__特技は?」
「声ソムリエ」
「声ソムリエ?」
「声でだいたいの性格を識別します」
「今一番欲しいものは?」
「彼氏、とか言っちゃって」
「__最近、初めて知ったことは?」
「自分の番組を持つことのやり甲斐」
「好きな男性のタイプは?」
「声の素敵な方」
「今までの人生で素敵な思い出は?」
「初めてマイクの前で喋った時」
「1番やりたいことは?」
「海外旅行とか」
「誰にも言えない秘密の話を聞かせて下さい」
「秘密の話__?」
「実は結婚します‼︎とか?」
「いやそれは__」
「なんなら僕だけに耳打ちして下さい。誰にも言いませんから」
なにかを企んでいるような目をしているが、流れ的に仕方ない。
亮太の耳に__。
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