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関口さんだった。
「彼女の番組、数字ご覧になってますか?あの前枠の長寿番組よりも数字いいんですよ?最初は流れで聴いていたリスナーも、今や積極的に番組に参加してくれている。これもすべて、彼女の明るい飾り気のないキャラクターがあってこそ。局が今からやるべきことは、このような女性をもっと増やすことです‼︎」
バンっ‼︎と机を叩き、お偉方の口を黙らせた。
お咎めもなく、そそくさと退室する。
「ありがとうございます。助かりました」
きっと私を連れ出してくれたのだろう。
「いや、それより大丈夫だってのか?昨日、ディレクターから連絡を貰って、慌てて出張先から帰ってきたんだが」
「わざわざそんな__大丈夫です」
「それならいい。もし、番組が辛いようなら柴田に代わりにやらせてもいいが。あいつも最近はやっと使えるようになってきたし」
「いえ、やります」
しっかりと答える。ここで逃げることはできない。
私の真剣な眼差しが伝わったのか。
「わかった。でも無理だけはしないでほしい。なら終わったらご飯でも行かないか?またワインの美味しい店を見つけたんだ」
「あの、関口さん__」
私にチャンスをくれた関口さん。ラジオ界を変えると熱く語ってくれた。いつも支えてくれて、こんな私にプロポーズまで。
でも__。
「ごめんなさい。私、関口さんとは結婚できません」
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