その声に、さようなら

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「ちょっと‼︎どういうことよ⁉︎」 翌日__いくら待っても帰ってこないので、局に乗り込んだ。引き継ぎやらで会社に篭っている可能性が高い。 早速、ヤツを見つけると首根っこを掴んだ。 「す、すみません‼︎」 亮太__ではなく、柴田くんが涙目で平謝りするも、更に問い詰める。 「あんた、私を裏切ったわね?」 「そんなっ⁉︎先輩を裏切るだなんて__」 「飼い犬に手を噛まれるって、このことかしら?」 「えっ⁉︎噛んでいいんですか?」 手に噛みつこうとする柴田犬の頭を引っ叩(ぱた)く。 私は昨夜の放送を思い出す__。 「徳川亮太のミッドナイトシアターは今日で終了しますが、明日からは__後輩の柴田アナに番組を託したいと思います。装いも新たな、柴田俊介のミッドナイトシアターを是非お楽しみ下さい」 __だから睨んでやる。2人でグルになって。 「徳川先輩が、杉田先輩の事を諦めるなら、番組を任せてもいいって言うんで」 「悪魔に魂を売ったわけね?出世を選ぶわけ?」 「だって俺、徳川先輩に敵いませんもん。それより、おめでとうございます‼︎」 恭(うやうや)しく頭を下げられるが、もちろん、叩(はた)き落とす。 「それよりあいつはドコよ‼︎隠したってムダだから‼︎」 私の剣幕に怯え、ワンコは首を竦(すく)める。 「さっきまで打ち合わせしてたんで__」 最後まで聞かずに、会議室に乗り込んだ。
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