206人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
亮太は会社を辞めた。
徳川財団の管理をすべく、忙しいのか家にも帰って来ない。
仮にも私たちは__夫婦だというのに。
プロポーズを受けた私は、その旨を番組内で発表した。
隠れて付き合っていたこと、番組開始にあたり距離を置いたこと、それでもお互いを必要としたこと。
洗いざらい全て話した。
番組を降りることも覚悟の上だが、亮太がケジメを取って退社をしたことと、番組の数字かいいこと、そしてなによりリスナーからの祝福のメッセージが後を絶たなかった。
「あんたがリスナーを大事にしてきたからよ」
涼子さんにも肩を叩かれ、番組を続投が決定。
暖かい気持ちが溢れてくるが、それでも毎夜、枕を抱えているわけで__。
「1時になりました‼︎柴田俊介のミッドナイトシアター‼︎始まりましたが、皆さんいかがお過ごしですか⁉︎」
思わずラジオを切った。
真夜中のテンションじゃないだろう。明日、後輩の頭を叩いてやらないと。
今日も亮太は帰ってこない。
連絡もつかない。
ていうか、新婚じゃないの?
私たち、新婚じゃないの?
最初のコメントを投稿しよう!