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けれど__。
さすがに自分の冠番組を持っていただけのことはあり、そのサポート能力はハンパなかった。
痒いところに手が届くというか、私が進行しやすいように道をお膳立てしてくれる。
決して目立つことなく、コメントを求められれば毒針を刺すような的確、且つ唸るほどだ。
「えーと、メッセージを紹介します。ラジオネーム、コンビニ雨女さんから__夫婦で番組やるなんて仲が良くて羨ましいです。お互いどんなところが好きなんですか?と__それでは徳川アナから」
先にふってやった。メインの特権というやつだ。
ふふふ、困れ困れ。悩むがいい__。
「なにもかも愛してます。その細胞の一つまで」
いつもの声が弾ける。
きっとラジオの向こうで、女性は悲鳴を上げていることだろう。
くそっ、こいつは平気なヤツだった。
「では、杉田アナは?」
ふられてしまった。
困った。
「私は__」
「私は?」
「声です」
「声?」
「その声が好きです」
「__他には?」
「以上です」
話をぶった斬れるのも、メインならでは。
睨みつける亮太を無視して、番組を進行して音楽がかかった。
すかさず。
「いいのか?」
「なにがよ?」
「訂正、もしくわ付け加えなくて」
「だって以上だもん」
「__そうか」
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