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「キスしたいんだろ?」
唇をすぼめて突き出す。その顔の憎たらしいことときたら‼︎
そっぽを向くも、ほっぺをムンギュと掴まれ、図らずも私の唇もキス待ちとなる。
「キスして下さいは?」
首を振る。
「したくないのか?」
それでも首を振る。
「じゃ俺、喋るのやめようかなぁ〜?」
「それはダメ‼︎」
「じゃ、キスして下さいは?」
「__キス、して下さい」
「聞こえない」
「キス、して下さい」
「あ、ごめん聞いてなかった」
「キスして‼︎」
叫んだと同時に、唇が引き千切られるのではないかというキスに襲われる。
唇が腫れてしまうほどの、熱くて長くて__待っていたキス。
時折、漏れ聞こえる声は私のもの。
私だけのもの。
キスはやがて唇から飛び出していき、足の指先に触れた時には、体が弓なりにしなった。
存分に愛されることを知っている体が、共鳴し合って叫んでいる。
「俺のこと好きか?」
「__うん」
「声だけだろ?」
ここにきても根に持っているらしい。
「声、だけなんだろ?」
「違う」
「なにが?」
亮太の動きが止まった。
それはもうピタリと。
蠢いていた痺れが塊となり、私の口から溢れる__。
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