喘ぎ声を押し殺して

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此処は地方FM局__。 言葉を紡ぎ、綴り、伝える仕事に携わりたかった私(杉田愛子)は、四大を卒業後、ラジオ局の門を叩いた。 まずアシスタントの仕事を地道にこなして、早5年。 未だアシスタントではあるが、真面目な仕事振りが評価され、大きな昼帯の番組「宮島ススムのシエスタの時間」に進行役として出演している。 こう見えても、そこそこ人気があるのだ。 スタジオに入る__。 三日月型のテーブルに、私と宮島さんが着席し、サブにはディレクターが鎮座して、私たちにQをふる。 「みなさん、こんにちは。11時になりました、宮島ススムのシエスタの時間。いやぁ、愛ちゃん、テニス凄かったね。お陰で寝不足寝不足。ほんとにシエスタしちゃいたいくらい」 「私も興奮してテレビに齧りついてましたよ!」 「愛ちゃん、テニスはしたことあるのかな?」 「実は軟式のクラブに入ってて、大人になってから硬式のテニススクール行ったんですけど、勝手が違うのか難しくて。体も硬いからダメなんですよね」 「柔軟が必要みたいだね。今日は、そんな愛ちゃんのために、30分で体がタコみたいになる、体操教室をご紹介しますよ!」 「わぁ、それは楽しみです‼︎」 「ではまず本日の一曲目__水原琴音の錆びれた天使」
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