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「ま~す~み~さま!」
教室の中から白鷺さくらが、私を呼びに来た。
目をそらしてさくらを見た瞬間、ざくっという音がした。
「あっ」さくらが、小さな声をあげた。
金岡さんが、両手で顔を覆って、わっと大きな声で泣き出した。
竹田さんの右手には、はさみが、そして左手には、切られた金岡さんの前髪があった。
「あんたが悪いのよ」と木村さんが吐き捨てるように言った。
泣きながら走り去った金岡さんを追いかけようとした私の袖を
さくらがつかんだ。
「真澄さま、行っちゃダメです。真澄さま!」
さくらを振り切って追いかけられなかったことに自責の念を感じた。
周囲は再び、日常に帰っていった。
何もなかったみたいに。
それは演技なのか、それとも本当に何も感じてないのか。
予鈴のチャイムが鳴った。
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