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オレのパーティとベヘンのパーティが激突する。
全員の目的ははっきりしていた。すなわちジェルデ達ルーノズアの住民たちをいち早く非難させる事、敵の目的はそれを阻止する事。
作戦会議の段階ではこの正面の扉を突破するのが地上への最短ルートだった。しかし今はベヘン達によって塞がれている。
だが初太刀の踏み込みを見てはっきりした事があった。確かに相当な実力者であることは確かだが、オレの敵じゃない。こちらは仮にも五つの試練を終え、魔王に一度挑んだことのあるパーティでリーダーを張っていた身だ。
いつか力を封じ込められていた時ならいざ知らず、本領を発揮できるうえにルージュを振るえるのならば負ける道理がない。
そう確信していた。
だからこそ奴の槍と剣とがぶつかった時に、オレは心底驚いたのだ。
剣の腹で奴の突きを往なそうとしたが、まるで上手くいかなかった。力の流し方、受けるタイミング、体捌きの全てがバラバラで、しかもその全ての要素がなにひとつとして噛みあわなかった。
自分の身体が自分の身体でないと錯覚するほどまでに無様な動きだった。
だからこそ、ベヘンも予想だにしない動きに戸惑ったことで攻撃に微妙な緩みができていた。そのお蔭で命拾いしたのかも知れない。
そんな安堵も束の間、ベヘンは更に攻撃の速度を上げて襲い掛かってきた。オレはと言えばやはり身体の動きが鈍く、全身全霊でようやく防戦ができると言った有様だ。
(主よ、一体どうしたというのだ?)
剣からルージュの声が伝わってくる。だが当の本人であるオレさえも一体何が起こっているのかまるで分からない。ケガや病気だったら原因が分かっているから対処も考えられるものの、一切の事が分からない今状況は石臼に入れられた麦穂のようにオレの精神を削っていく。
いまのところ、他の皆にそれが伝わっていないのが幸いだ。
オレが異常をきたしていると分かれば、絶対に隙が生まれる。それはパーティの崩壊を招き、オレ達の瓦解はこの作戦の成功率を大きく損なうことに繋がる。それだけは避けなければならない。
せめて皆の死角になればとオレは作業場の資材や道具の保管場所として使われているであろう棚の密集している箇所に逃げ込んだ。相手の得物が槍であれば、振り回すには少々手こずるくらいのせまさだった。
もっとも小回りが利かないのはオレも同じ。場合によっては逃げ場を自らを追い詰める形になってしまったかもしれない。
そうして逃げおおせた先でオレは足りない頭を必死に巡らせる。
すると、この謎の不調に説明がつく一つの仮説を思いついた。
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