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―何かを、忘れている気がする
「ふふっ、お前が元気そうで何よりだよ」
「こっちの台詞さ、君も相変わらず毎日楽しそうじゃないか」
久々の再会で、故郷にいるわけでもないのにとことん郷愁に浸った後、互いの近況を報告し合った。
今の職場がどうの、最近の経済がどうの、人間関係がどうの、今後の人生設計がどうの。
会わない期間が長かっただけあって、ひっきりなしに話題が続く。
そんな中、初めて会話が途切れた。
会話の小休憩だと言えば聞こえは良いが、今はとにかくこいつと話していたい。
そんな思いが口走らせた、
「実は今日、ここに来るまでに変なことがあったんだ。」
記憶の扉を開ける鍵。
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