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『アイツ、絶対性悪だよ!カコ、騙されてるんだよ!悪いことは言わないから、早く別れな!』
かつて、友達がいきなり言ってきた台詞を思い出した。
「……」
私は確か、『そんな馬鹿なぁ~!』と笑って返した。でも友達は確かに、大学で出会って付き合いこそ浅かったが、そんな冗談を言うような子ではなかった。今でも続く付き合いなので、益々彼女がそんなことを冗談で言わない子だと言うことが分かる。
なんて言ってたっけ、と適当にあしらった記憶を必死に呼び起こす。
『だって、にこりとも笑ったとこ、見たことないよ?確かに美形だけど、めっちゃ冷たいじゃん。どこが良かったの?お互いの事を知らないのに、告白してくるなんて怪しいよ!』
確か、そんなことを言っていて、ますます『信じられない!』と思ったのだ。
『慧くんが冷たい…?にこりとも笑わない…?まさか。めっちゃくちゃ温かいし、いっつも微笑んでて、滅茶苦茶居心地良くて幸せだよ…?私』
『だからぁ!それが怖いんだってば!なんで、カコにだけそうなの?怖くない?なんか絶対、裏があるんだって!』
『えー?そんなこと言われたって…。きっと、B専だったんだよ。それに、私、お金も持ってないし。私を騙したところで、得なんて何一つないよ?』
だから大丈夫だよ!と、聞く耳を持たず笑えば、友達も何を言っても無駄だと察したのだろう。それ以上は何も言わなかった。あ、そう言えば、『カコは、ブスじゃないよ』って小さく言ってくれたっけ。『えへへー!ありがとう!』って、笑ったような気がする。
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