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「正直に言いますが、最初に計画した時はダイパレの活動休止を狙いました」
久遠からの突然の威圧にも、眞津藻瑠々は堂々とした態度で答える。さすが女優といった感じだ。
「SNSで拡散されてた謝罪動画見たけど本当に理由は嫉妬か? 他にある気がするんだけど」
真っ直ぐと視線を向けながら久遠がさらに追求する。眞津藻瑠々もさすがに今までの知っている久遠の雰囲気ではないことに違和感を感じ戸惑いの表情を浮かべだした。
「まあこの話はあとにしようよ。料理とかって何かのコースなの?」
その表情に気付いたナラムが少しピリついた雰囲気を変えるため、すかさず話題を変えた。
「あ、はい! オーナーにお任せコースでやってもらいました。今日の料金は全部私が持ちますので気にせずに食べてください!」
ナラムのおかげで場の空気が少し持ち直した気がした。
「約束破って悪いんだけど、今日は素のままにするんでよろしく」
そんなナラムの気持ちとは関係なく久遠がさらに続けた。わざと宣言までして、久遠が何を考えているのか冬凪にはすでにわからなかった。
「久遠さんって……普段はこんな感じなんですか?」
眞津藻瑠々は恐る恐ると言った感じに、冬凪とナラムの方を見ながら言う。視線を受けた二人は目を合わせた。
二人は軽く頷き合い、これ以上誤魔化すことは難しいと判断した。
「えーっと……久遠はアイドルの時と普段の時で全然違って……ビジネスアイドルっていうか……。プライベートは口の悪いやる気のないゲームが好きのただの若者みたいな……」
「知っている人は事務所の人とか、本当に身内だけだから、驚かせてしまったかもしれないけど……別に悪いやつではないんだ」
冬凪とナラムが順番に久遠のフォローをしようと試みる。それを聞いて眞津藻瑠々は最初呆けた表情をしていたが次第に笑顔になっていった。
「まあ、芸能人ってそういうのありますよね! アイドルの時と普段の時の二面性があるんですよね! いいと思います!」
冬凪とナラムは予想と異なる反応に拍子抜けし、座ったままの状態で自然と体の力が抜けていった。
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