第6話 煌めく文化祭(前編)

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「えぇと……ちなみにどんな企画をやる予定なんですか?」  室瀬航大はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに、わざともったいぶる素振を見せながらおもむろに口を開いた。 「パソコン部ということで、本来はパソコンの技術を楽しんでもらいたいのですが、それでは一般の方々、興味のない方々は見向きもしないと思うので誰もが楽しめる企画を考えました。人気ゲーム、シャフトバルバリーの対人戦企画です!」  まさかこの場で、このゲームの名前が登場するとは思わず、冬凪は返事をするのを忘れて室瀬航大を見つめ続けた。 「貞目さん……? 何かありました?」 「え、ああ、ううん。面白いと思うよ」 「シャフトバルバリーってオンラインゲームなんですが知ってますか?」  知ってるも何も、現在進行形でめちゃくちゃやってるとは、面倒なことになりそうなので言えるわけがない。 「昔少しやってて……今は全然やってないんだけど」 「なるほど。充分です。話は戻りまして、参加型企画で僕と対戦してもらい、勝った人には何か景品をあげようかなと思ってます。キャラクターや装備は同等のものを用意するので、単純にその人の腕だけで競えるようにします」  思っていたよりきちんと考えられた企画だと感じたが、自分は一体何の手伝いをすればいいのかと思う。 「当日って、私は何をすればいいんですか?」 「呼び込みと接客です。男が対応するよりも、貞目さんみたいな可愛らしい清純系女子の方が絶対人が来てくれます」  室瀬航大は顔色一つ変えず、言い放った。(え、え、そんなこと初めて言われたんだけど! 私が可愛らしい清純系!?) 「あ、ありがとう……ございます……」 「ということで、基本的には当日まで役割はないので幽霊部員を続けて大丈夫です。まあ、前日くらいに一度リハーサルしましょうか。連絡先教えてもらってもいいですか?」  言われた通りに連絡先を交換して、冬凪は少し慌てた様子でパソコン部の部室を後にした。 (やばい、やばい……あの部長……なんか色々とすごいんだけど……!)
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