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Ver.1 あーちゃん
「はる! あーちゃんも来てくれたから、降りてらっしゃい!」
大声で母親に呼ばれて、階段を下りる。
母の友人、麻里子さんが今日、来ると聞いていたけどあーちゃんも一緒に来るなんて、寝耳に水だった。
気まずい。
だけども、幼なじみの登場に気まずい顔を見せられるほど、私は子供でもない。
少し息を吐いて、ドアを開けた。
「ああ、やっと降りてきた。せっかくあーちゃんも来てくれたんだから、早く来なさいよ、もう」
「はるちゃん、お久しぶりね。見ないうちに、すっかり大人っぽくなってない? ね? もう三年生だから、当たり前かぁ」
同じ町内に住んでいるのに、麻里子さんは大袈裟だ。まぁ、確かに、麻里子さんには久々に会う。
「敦志、ほら、持ってきたの、はるちゃんにあげなさいよ」
麻里子さんの隣に座っているあーちゃんは、4月生まれの私より二週間早く、3月末に生まれた。
マタニティークラスで、出産予定日が一緒の事に運命を感じて、意気投合した母親同士のおかげで、小学校に上がるまでしょっちゅう一緒に過ごしていた。
週末、ちょっと公園で遊ぶ、という程度ではなく、産休明けすぐに仕事に復帰した麻里子さんに専業主婦だった母が、手助けを申し出たため、時に、あーちゃんを託児所に迎えに行ったり、家で一緒に夕食を食べ、お風呂にも一緒に入る、というような仲だったらしい。
保育園も同じところに行ったから、あの頃は常に一緒だった。
母曰く、あーちゃんの方が歩くのは早く、私の方が話すのが早かった。
私達はまるで双子か兄弟のように育った。
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