やって来た東宮妃。

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 等と宣ったではないか。旭は身を引くように後方へ仰け反った。顔も又茹で上がる。 「か、かか、かれん、う、うつく……っ、なっ、何をっ……!下手な気遣いは不要ですぞっ」  此の旭の物言いへ、冷泉は初めて眉を動かした。そして、鋭さが増した其の瞳に旭はたじろぐ。 「私は思わぬ事を言葉としませぬ。其方より訊ねておいて、少々失礼ではありませぬか」 「えっ、し、失礼とな……?」  先程迄の勢いも失った旭だが、聞き返す事は出来た。冷泉は、旭を強く見据え。 「貴方を美しいと思えぬなら、別の御言葉を選んで居ります。そうでしょう」 「えっ、や……そ、そうではなく、何故貴方が私を失礼だと責めなさる……っ」  妙な圧に流されそうになるもまだ納得いかず、僅かな自尊心から物申した旭。亭主は、己であると。  処が。 「謝罪頂けますか」  とな。答えでは無い上、謝罪の要求に旭は目を丸くさせた。 「はっ?謝罪っ、とは……わ、私がですか?」  何故、と突っ込み処しかなく。問い返すも、冷泉は至って平静。更に、ひとつ息を吐き鋭い眼光を旭へ向ける。 「ええ。まるで、私の言葉が偽りであるかの如く決め付け……あまりにも無粋。故に、私の心は深く傷付いております」  低い声と此の目力が、物凄い圧として旭を追い込む。旭は、此の押し潰されそうな恐怖に涙目だ。 「あ、其のっ……も、申し訳御座らぬ……」  亭主たる威厳とは何処へ。頭を下げる旭へ、冷泉は又一呼吸置き。 「良いでしょう。では、いざ」
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