コンスタンチェという友がいて

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 絢爛な衣装に身を包んだ女王たる私は、来るべくしてきたこの裁判の日を、どれほど心待ちにしていたであろうか。  あの夜以来、私はこの日のために生きてきたといっても、過言ではないのだ。  それゆえ、永き動乱の日を耐え抜き、ついに本来の地位であるこの国の女王の座に昇り詰めたのだから。 「姫様……いや、陛下、いよいよですな。ようやっと敵討ちが叶いますぞ」  宰相のダンテが感無量と言った感で私に囁く。私はそれには無表情に頷いたが、心の中は溢れる思いでいっぱいであった。  感慨に耽る私の耳に、裁判所にラッパの音が響く。次いで、衛兵の甲高い声が聞こえる。 「マルガリーテ女王陛下のお成りぃー!」  それを合図に、私はダンテを従えて、かつかつ、と靴音も高く、法廷内に足を踏み入れる。そして、罪人の席に目を向ける。  ……間違いは無かった。あの夜、彼女を斬殺した男たちが、鎖に繋がれてそこに立たされていた。
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