コンスタンチェという友がいて

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 空は何も答えない。ただ私の衣装の裾を、ゆらりとゆらす風を漂わすのみだ。私はゆっくりと空から視線を外すと、執政の続きを摂るべく、城に戻ろうとした。そこに私を呼び止める声がする。  見れば、裁判長が赤いガウンを翻して、息を切らし私に駆け寄りつつあった。 「陛下、先ほどの判決でほんとうによいのですか……?」 「何度も言わせないで」 「……御意。ですが、有罪とした宰相ダンテの罰は、如何に?」 「死罪にしたいところですが、さすがにそれはここまで国に尽くしてくれた彼の徳に背くでしょう。せいぜい、城の塔に死ぬまで幽閉するがよいわ……ああ、そうだわ」  そして私は、最後にこう付け加えたのだった。どこまでも薄い笑いを口に浮かべながら。 「……彼が孤独に耐え切れそうになかったら、人形でも差し入れてやって。精巧で、彼の慰めとなるようなやつを……そう、私のときと同じように、ね」
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