コンスタンチェという友がいて

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 そうとなると私は、すぐに折檻の手を止め、彼女を抱き起こし、ドレスをあてがい、ごめんなさい、ごめんなさい、と彼女の胸にすがって泣いた。    何せ、彼女に見捨てられたら私はまた、この仄暗い塔の中で、ひとりぼっちになってしまうのだ。私はそれが怖かった。コンスタンチェが私を嫌って去って行くのが、何よりも怖かった。だから私はときに泣き叫んで謝った。 「お願い、ごめんなさい、コンスタンチェ! 私を嫌いにならないで!」  すると彼女は聖母のような微笑みで私を見つめ返す。私はそれに心から安堵し、その優しげな眼差しに心を蕩けさせては、また彼女と今度は何をして遊ぼうか、飽きることなく、暗く閉じられた果てのない刻のなか、また思案に耽るのだ。  私たちは一心同体だった。  私は彼女で、彼女は私であった。  だが……それが当たり前となって久しいある日、彼女との別れは唐突に訪れた。それは私が15になり、コンスタンチェの背に漸く追いついた頃だった。
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