コンスタンチェという友がいて

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 どのくらいの刻が経ったか、賊は去り、静寂が戻り、私を抱え込むダンテの手の力が緩む。  私は転がるように寝台に駆けつけた。  そこにあったのは、無残にもビスチェを切裂かれ、首、手と足、からだが、ばらばらになったコンスタンチェの「亡骸」だった。  私は絶叫した。 「コンスタンチェ……! ああーっ!!」 「マルガリーテ様……、落ち着いて下さい。彼女は姫様の身代わりとなったのです……名誉ある死です……!」 「そんな、いや、いや、コンスタンチェ……、コンスタンチェ……」  半狂乱になって泣き叫ぶ私の横を、ダンテの指示により下男どもがコンスタンチェの「遺体」を片づけていく。私は崩れ落ちて、床に転がっていたコンスタンチェの右腕を抱き寄せた。 「コンスタンチェ……! 私たちはいつまでも一緒と思っていたのに……! 私の、私の、ただひとりの友達!」  ……その夜が明けても、私の頬を滝のように流れる涙は、止まることを知らなかった。
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