コンスタンチェという友がいて

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「……では、この者どもを、ご両親であります前国王陛下と前女王殿下の殺害の罪で有罪とすることを、是としますか? 陛下?」  裁判長が私の方を見て質す声が聞こえ、私は我に返る。法廷では、あの5年前の夜の惨劇を裁く裁判がまだ延々と続いていた。私は回想から頭を切り離すと、罪人どもに真っ向から見つめ、震え上がる彼らを前に、判決を声にした。 「いや、無罪です。お父上、お母上殺害の罪は、この者どもには問いませぬ」  とたんに法廷内がざわめいた。隣に座るダンテの、驚愕の視線が頬に刺さる気配がする。だが、私はそれには一瞥もくれず、淡々と語を継いだ。 「ただし、私の唯一の友、コンスタンチェを殺害したのは赦せぬ。よって、この者どもはコンスタンチェ殺害の罪で死罪とします、そして……」 「……女王陛下……!」  ダンテが私の言を遮るように叫んだ。すかさず、私は今度はダンテに冷たい視線を向け、判決の続きを放った。 「宰相ダンテ、お前も有罪です。あの時、お前はコンスタンチェを見捨てて、彼女を無残に殺されるままにしましたね」 「なんで、すと……?」  私は表情を変えずに、青ざめるダンテを睨む。ダンテは狼狽して私に震える声で問うた。
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