転校生

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先生に言われてあたしはゴクリと唾を飲み込み、B組に足を踏み入れた。 途端にたくさんの視線があたしへ向かう。 学校によって雰囲気は異なるが、クラスによってもまたその空気は変わる。 それぞれの教室にいる、ひとりひとりが作り出している空気だ。 足を踏み入れた瞬間その空気に身を包まれて、居心地の悪さを感じた。 このクラスにはまだあたしの居場所はない。 構築されたクラス内の空気がそう伝えてきていた。 「自己紹介をして」 田中先生に促され、あたしは自分の名前を黒板に書いた。 染谷亜里沙(ソメヤ アリサ)。 これがあたしの名前だった。 「よろしくお願いします」 小さな声でそう言い、先生に教えられた席へ向かう。 あたしの席は窓際の中央だった。 ただ歩いているだけでみんなの視線を集めるなんて、きっと今日くらいなものだろう。 自分の席に到着して、ようやく安堵する。 「それじゃ、みんなも自己紹介しようか」 先生に言われて、廊下側の前の席から順番に自己紹介が始まった。 ここへ来るまでにB組の集合写真を受け取り、顔と名前は一応把握している。
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