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一通り自己紹介も終わり、先生が教室から出て行った。
途端に生徒たちは思い思いに動き出す。
遠巻きにあたしを見ている子。
興味なさそうに友人と会話を始める子。
そして……転校生に積極的に話しかける子。
「はじめまして! あたし来栖樹里。樹里って呼んでね」
真っ先に話しかけてきたのは樹里だった。
思っていた通り明るく活発で積極的な性格をしているみたいだ。
樹里の後ろんは蕾の姿もあった。
「あたしは蕾って呼んでね?」
樹里とは違って少し大人しそうに見える。
でも自分に自信がないわけではなさそうだ。
あえて樹里より前に出ないように気をつけているように見えた。
あたしは2人から視線を外して男子生徒を探した。
野口重行と小保方一樹は、さすがに女子ばかりの輪には入ってこず、2人でなにか話をしている。
「ねぇ、聞いてる?」
樹里が眉間にシワを寄せて聞いてきた。
「うん……よろしく」
あたしは椅子の上で身じろぎをして答えた。
視線は合わさず、うつむく。
その態度に樹里は一瞬蕾と目を見交わせた。
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