転校生

8/14
前へ
/181ページ
次へ
4人の観察をしている内に時間は進み、1時間目が開始されるチャイムが鳴り響いたのだった。 ☆☆☆ 「転校初日はどうだった?」 放課後、職員室に呼ばれたあたしは田中先生からの質問にうなづいた。 「大丈夫そうです」 と、無難な返事をしておく。 田中先生は笑顔になって「そうか。それならよかった」と、あたしの肩を叩いた。 「なにかあったらすぐに相談しに来るんだぞ?」 「はい。わかりました」 後は適当に今日あった出来事を話して、職員室を出た。 こうして、あたしの始めての登校日は無難に終了したのだった。 ☆☆☆ 翌日になると、あたしに話しかける生徒は圧倒的に少なくなっていた。 転校生への興味が薄れたこと、あたしの反応が鈍かったことが原因みたいだ。 休憩時間に入ってもあたしに声をかけてくる生徒はいなかった。 あたしは一人で教室を出て、廊下の最奥に設置されている自販機までやってきた。 今の時間はまだ自販機の利用者が少ないようで、誰も並んでいない。 あたしは缶コーヒーを一本購入すると、すぐにプルタブを開けた。
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加