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4人の観察をしている内に時間は進み、1時間目が開始されるチャイムが鳴り響いたのだった。
☆☆☆
「転校初日はどうだった?」
放課後、職員室に呼ばれたあたしは田中先生からの質問にうなづいた。
「大丈夫そうです」
と、無難な返事をしておく。
田中先生は笑顔になって「そうか。それならよかった」と、あたしの肩を叩いた。
「なにかあったらすぐに相談しに来るんだぞ?」
「はい。わかりました」
後は適当に今日あった出来事を話して、職員室を出た。
こうして、あたしの始めての登校日は無難に終了したのだった。
☆☆☆
翌日になると、あたしに話しかける生徒は圧倒的に少なくなっていた。
転校生への興味が薄れたこと、あたしの反応が鈍かったことが原因みたいだ。
休憩時間に入ってもあたしに声をかけてくる生徒はいなかった。
あたしは一人で教室を出て、廊下の最奥に設置されている自販機までやってきた。
今の時間はまだ自販機の利用者が少ないようで、誰も並んでいない。
あたしは缶コーヒーを一本購入すると、すぐにプルタブを開けた。
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