うらぎりもの 前編

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...... 私,昔からどんくさくて。 みんながすぐできることも,全然できなくて... そのせいで,同級生たちからはいじめられたり,陰口を言われたりしていたんですけど,姉は皆が私の悪口を言っている時も庇ってくれて...。 でも私,聞いちゃったんです...。 一週間前くらいかな...廊下にさしかかった時,姉と,いつも私の悪口を言う人たちがいて...なにしてるんだろうって,聞き耳を立てたんです。そしたら, 「 ねえ,ユナはさあ,なんであんなやつのこと庇うわけ? あんなどんくさい奴庇ってたら,ユナも巻き込まれるんだよ? ユナは嫌じゃないの? あいつ。 どんくさいし, いつもおどおどしてて。見ててイラつかないの?」 「そうね...でも...」 「あーもう,ブツブツ言ってないで, はっきり言いなよ!ユナも本当は嫌なんでしょ!?あいつのこと庇うの!!」 「 ...私だって... あの子のこと,嫌じゃないわけじゃないわ...でも, あの子は私の妹だもの... 妹じゃなかったら,あんな子,かばってないわ...。」 -----背筋が凍りつきました。 だって,私の居場所は,お姉ちゃんの隣にしかないと思っていたのに, そのお姉ちゃんでさえ,私のいないところではこんな事を言っているのですから。 「でしょー?本当,かわいそうだよねー。 生まれ変わってから出直してこいっての!」 「やだ,その言葉あの子にピッタリじゃない!!」 取り巻きの一人がそうもてはやし,その他の取り巻きが,耳が痛くなるような甲高い声で笑いました。私は生きた心地がしませんでした。満足したのか,その人たちは,姉の前から去っていきました...。
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