4人が本棚に入れています
本棚に追加
プロローグ〜羽ばたくツバサがほしい
病室の個室内に秋の柔らかな日差しが入り込んでいた。春には花を満開に咲き誇らせていた桜の樹々だったが、今は葉っぱを赤や黄色に変化させ見事な紅葉の景色に変えていた。
幼少期から心臓を患っていた私は、激しい運動は禁止されていたし、外で遊んだりすることもない日々だった。
私も外に行きたい! ツバメと、小鳥と同じ名前を持っているのに全然羽ばたくことなど出来ない。なんだか悲しくて、窓のロックを外し扉を全開にした。
両手を広げて目を閉じたままでやや前のめりの体制となる。このまま飛び立ちたい! 私にもツバサがあったらいいのに。そしたら、自分の好きな所にどこまでも行ける……。
更に一歩前に飛び出そうとした所で、
「危ない!」
と、大声で呼び止める声が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!