4 ドキドキキャンプ

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4 ドキドキキャンプ

 待ちに待った日がやって来た。しかし出発の3日前からさくらちゃんは38度の高熱を出したのだった。当然キャンプは不参加に。  ついついため息をついてしまう。 「さくらちゃんは残念だったね」 「しょうがないだろ。身体の方が大切だ。また今度誘って行こう」 さくらちゃんとの初めてのお泊まりでもあったので本当に残念に思った。 翼が肩をポンポンと優しく叩いて慰めた。 「そうだね」 「荷物持ってやるよ」 「ありがとう」 ツバメの荷物が入ったボストンバッグを受け取り病院の駐車場に向かった。 翼は子どもの頃から私の身体に負担がかからないように考えてくれる。感謝でいっぱいだ。  そして荷物を搬入し、ツバメを乗せた。病院の裏口で匠先生を拾い、キャンプ場に向かって出発した。 □ □ □ 翼の運転する車は6人乗り乗用車だった。 「それでは3人揃った事だし、今から天川村キャンプ場に向かいます。運転は任せてくれ」 翼は自信満々に言い切るが、車には初心者マークが貼られている。 「翼、本当に大丈夫なのか?ちょっとでも不安に感じたら運転変わってもらうからな」 「そうだよ。ちょっと心配だよ」 「気を付けて運転するから見てろよ」   途中、山道でカーブを曲がる際にガードレールとスレスレになり接触しそうになる。 「うわ!」 「キャー!!翼!ぶつかるよーー!」 心臓の鼓動が早くなる。そして手を握り締めた。その手を隣に座っていた匠先生の大きな手が覆った。ちょっとした事だったのに心は落ち着きを取り戻す。  匠先生の手はなんだか安心出来る……そう思った。  ギリギリの所で接触はせずに回避出来た。 「はーーっ。ビックリしたよ……」 「ツバメ、ビックリさせてしまってごめん」 翼が小さな声で謝る。 「翼、次はもっと周りに気を配って運転してくれ」 「わかってる…」 翼の声が更に小さくなった。  その後は安全運転で車は16時にはキャンプ場へとたどり着いた。 □ □ □  キャンプ場は平日という事もあり人や車はまばらだった。受付を済ませ本日泊まるコテージまで移動する。  「Aー3は、ここだな」 入り口横にウッドデッキがあり、緑色の屋根で可愛らしいコテージだ。バス、トイレ、キッチン、空調設備、ベッドなども完備されているので安心して泊まる事が出来る。 「わあー! ここ思っていたより広々としていて建物も綺麗だね」 「そうだな!」 「ツバメちゃんもゆったり過ごせるはずだ」 リビングの部屋とは別にベッドルームがあり、大きなベッド1つと二段ベッドがふたつ。 「私この大きなベッドがいいな。ふかふかしてそうだし。二段ベッドのマットレスはなんだか硬そうだから」 「そうしたらいい。そこが一番ゆっくり休めそうだから」 「それでいいよツバメ。荷物を置いたらちょっと早めだけど、ウッドデッキでバーベキューの準備しようぜ」 まだ着いたばかりで落ち着かないけど、これから待望のバーベキューが出来ると考えたらワクワクが止まらなかった。    
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