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7 体調の悪化
しばらくは体調に変化なく落ち着いて過ごせていたのだったが、秋の終わり頃になると、身体に異変を感じるようになった。
なんか最近また体がだるいな……。むくみも出てきているし、嫌な予感がするんだ。
ツバメの足はむくみのため足の甲の部分が腫れてしまっていた。
少しでもかわいく見られたいのに最悪だーー。
それにこれはまた心臓が悪くなってしまったということ。生命のタイムリットがまた1日1日と近づいている。
「怖いよ……!」
言い知れぬ恐怖が頭の中いっぱいになる。涙がぽたぽたと流れる。
その時翼が病室へと入ってきた。
「ツバメー。!!どうした。何で泣いてる?」
いきなり涙を流すツバメを見て驚いた様子だったが、胸に抱きしめた。
「うわーーん!」
1人で部屋にいる間は我慢していたのだったが、翼に抱きしめられその優しさに触れたツバメは声を出して泣き出した。
「私ーー、また心臓が悪くなってるみたい。足もむくんできたみたいなの……。もう長生き出来ないのかもしれない。移植の順番が回ってくるまでもう持たないかもしれないよ。どうしよう」
身体を震わせる。
そんな様子に気が付いた翼が更にぎゅっと身体を抱きしめる。顔が翼の胸に当たりドクン、ドクンと力強い音が聞こえてきた。
「翼の心臓の音、ドクンドクン言ってる。なんか安心出来る音だ……」
「大丈夫。俺はずっとツバメといてやるから」
翼の背中に手を回してつかまったら少し気持ちが楽になった気がした。
「ごめんね。もう少しだけこうしていてくれる?」
「分かった」
そのまま気持ちが落ち着くまで私は翼の心臓の鼓動を聞いていた。
□ □ □
次の日も身体は重だるく、ベッドに横になって先生の回診時間を待っていた。
「ツバメちゃん、身体の事だけど、やっぱり心機能が低下しているみたいだ。いつ心臓移植の手術となってもいいように準備を整えておこう」
やっぱりそうなんだ……。薄々そうじゃないかと思っていたけど否定したい気持ちもあったから先生から直接そう言われるとやっぱりショックだ。
「ドナーの方が現れるまで私の心臓持ちますか?それまでに死んじゃうかも……。もし移植しても失敗することもあるかもしれない。それに誰かが死ぬのを待つのも嫌……」
涙が溢れて頬を静かに伝う。その涙を指で優しく触れながら、
「俺達がサポートするから。移植が受けれるまで最大限に努力する。死なせない!」
そう言って手をギュッと握ってくれた。
「はい……」
か細い声でそう返事するのが精一杯。本当は怖くて怖くて逃げ出したかった。
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