プロローグ〜羽ばたくツバサがほしい

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プロローグ〜羽ばたくツバサがほしい

 病室の個室内に秋の柔らかな日差しが入り込んでいた。春には花を満開に咲き誇らせていた桜の樹々だったが、今は葉っぱを赤や黄色に変化させ見事な紅葉の景色に変えていた。  幼少期から心臓を患っていた私は、激しい運動は禁止されていたし、外で遊んだりすることもない日々だった。  私も外に行きたい! ツバメと、小鳥と同じ名前を持っているのに全然羽ばたくことなど出来ない。なんだか悲しくて、窓のロックを外し扉を全開にした。  両手を広げて目を閉じたままでやや前のめりの体制となる。このまま飛び立ちたい! 私にもツバサがあったらいいのに。そしたら、自分の好きな所にどこまでも行ける……。  更に一歩前に飛び出そうとした所で、 「危ない!」 と、大声で呼び止める声が聞こえた。
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