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7.逃亡
━トントントン
包丁の音がして…いい匂いがしてきた。
「宇宙!ご飯よ」
まだ夢の中にいるようだった。
食に着くとお父さんが帰宅していた。
「…タケノコなんてすごいな~」
「そう 堀り立てだから美味しいわよ。さっき今井さんのお爺ちゃんに貰ったの。」
お父さんはノンアルコールのビールを呑みながら、タケノコの味噌焼きを美味しそうな音をたて食べた。
「旨い!ほんとにアクがない。」
“なんだ…今井さんのじいちゃんか。僕の予想もたまには外れるな。”
僕は一安心した。
≪15日午前11時頃…茨城県…古川町…民家で飼われていた体長4㍍のボールパイソンが逃亡した模様。…まだ見つかっておらず…警察と消防が…≫
テレビでは、ペットとして飼っていたニシキヘビが逃げ出したと飼い主が申し訳なさそうに語っていた。その姿はスーパーでよく見るおばさんの財布みたいやにカラフルで、金ピカと黒の配色が、恐怖心を倍増させた。
「まだ見つからないのね…古川町って山の中腹の辺りよね。淳君とこの近くじゃない?」
その時、お父さんの携帯が鳴った。
「まさか…今日…押し入れにいたのがあのヘビじゃないか?いや絶対そうだよ」
「あら、そう言えば騒いでたわね。」
「そんなことがあったのか?」
「じゃあ…一応念のため…淳君の家に電話してみるか…」
「お願い…」
そう言うと僕は急いで部屋に戻った。僕はガタガタと足が震えるのを確認した。
…と同時に『必ず見つかる!』そんな予知を感じとった。
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