ザ・ダーク

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 クロノスが機材を操りながら「下に変化があったら教えてくれ」と言った。窓からフロアを見下ろしていると、皆が装置に着いた。 『聞こえるか? コクーンの中に子供がいる。全部実験装置だ。そっちから開けられるか?』  僕の無線機からの声に「こっちはデータ収集するだけで操作は直接するみたい」とクロノスの言葉を返した。 『分かったやって、うわっ! 何だ、どうなってる』  全てのコクーンの窓が青白く光っていた。皆が開けようと色々試しているけど効果がない。クロノスが窓に駆け付けると光が消えた。 『子供達が……。消えちまった……』  「嘘だろ。高圧酸素ガスで焼却しやがった。子供達を。物みたいに!」  クロノスが窓を叩いた。 『奴にとっては生きた証拠だから……。だからって。くそっ! クロノス、データも消えるかもしれない。絶対に頼む!』  何処かで聞いた癖のある音が響き渡った。気が付くと螺旋階段の踊り場で、フロアのみんなに向かって拍手をしている紫色のソバージュが見えた。 『アイツだ! 僕を捕まえた奴だ。名前は……思い出せない』 『なんだって! 奴がファントムだぞ』  ファントムがカンッと花柄のステッキで床を鳴らすと、フロアの壁が反転してアッと言う間にガイア達が重警備に囲まれてしまった。
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