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和やかな時間が過ぎていき、10分ほど経った頃に莉花が咲良に言う。 「ねえ、咲良ちゃん、アイメイクが崩れちゃってるよ。一回お手洗いに行って確認してきた方がいいんじゃないかな」 ふふふ、と和やかに笑いながら咲良に言う。あまり人前で指摘しない方が良いことかもしれないけど、美しい微笑みのおかげで嫌な感じはしなかった。 「あれ、本当ですか? いつの間に崩れたんだろう……」 呟いてから咲良はお手洗いに向かった。 綾海には崩れているようには見えなかったけど、芸能活動をしている莉花が言うのだから、何か細かい違和感があったのかもしれない。 今日は莉花に会うからと、ばっちり入念に化粧をしてきたみたいでいつもよりもきちんとしているように見えたんだけどな、と綾海はほんの少し不思議に思った。 咲良が席を立ったので、必然的に綾海は莉花と2人になる。その瞬間、まるで莉花の中でスイッチが切れてしまったみたいにスンっと表情が暗くなった。突然別人になってしまったような莉花の姿がなんだか怖かった。
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