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「綾海ちゃんはさ、わたしのこと、小学生の時どう思ってたの?」
「どうって……。一緒にいて楽しい友達的な?……」
「ふうん。あたしはね、あんたのことが大嫌いだった」
莉花がグイッと顔を近づけて言う。目力の強い莉花の怒った顔が、今にもぶつかりそうな距離にあって怖かった。
思わず綾海は顔を後ろに引くと、壁に頭がゴンと大きな音を立ててぶつかった。だけど莉花はそんなことは気にせず話し続ける。
「ずっと自分勝手でわがままなあんたに付き合わされ続けたあたしの身にもなってよね。あの頃は気が弱くて友達も全然いなかったからあんたと一緒に遊ぶしかなかったけど、本格的に演劇を始めて自分に自信がついてから、いかにあんたと、そしてあんたと一緒にいた子どもの頃のわたしが愚かだったか、よくわかったわ」
莉花の言葉は止まらない。剣幕に圧されながら、ぶつけた頭をさすることもできずに黙って聞いていた。
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