1/5
28人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ

目の前に流れている恋愛ドラマを見ながら綾海(あやみ)は大あくびをした。 夏休みに暇だからと、春から同じ大学に通っている下宿生の咲良の家で流行りの恋愛ドラマを一気見することにしていたのだが、それが随分とつまらなかった。綾海はソファーの肘掛けに頬杖をついて、半分寝ながらドラマを見ていた。 咲良が言うには、なかなか自分の気持ちを素直に伝えられない両想いの2人をもどかしい気持ちで見守るのが楽しいらしいが、綾海からすればどうして2人がさっさと告白してしまわないのかが不思議で仕方なかった。 言いたいことがあるのならさっさと言ってしまえばいいのに。自分の気持ちを表に出さないなんてばかげていると思う。 そんなことを考えている間にも話は進んで行き、ヒロインの恋のライバルとなる女性が出て来た。 その展開自体はよくあるもので、特に興味を惹く理由にはならなかったのだが、その役を演じる人物が綾海の目を惹いた。 思わず小さな声で「え……」と呟いてしまう。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!