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悲劇はそれだけで終わらなかった。
痩せて小さな身体のモネは出産に耐えきれず、あらゆる手を尽くしたが出産直後に亡くなった。
亡くなる直前、モネは僕の手を握り
「あなたに愛されて幸せ」
と言った。
僕は思わずモネの小さな身体を抱きしめ、アザに覆われた顔にキスして
「モネ 愛してるよ」
と言った。
モネが冷たくなって僕は思った。
モネは僕を愛してくれた。
僕は最後までモネに同情していた。
「愛してる」
と言った時さえ彼女の心を支えたい一心だった。
彼女を幸せに逝かせてやりたい。
そう思っての言葉だった。
僕のその欺瞞に満ちた醜悪な精神が、この化け物のように醜い自分の子どもを
生み出してしまったのだ。
そんな気がした。
モネの魂が激しく爆発してマグマを吹き出すように産み落とされた男の子は、僕の腕の中で力強く泣き叫んでいた。
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